渋谷、セラピスト、8。

わたしは無駄にこの世に生れてきたのではない。

また人間として生れてきたからには、

無駄にこの世を過ごしたくはない。

相田みつを(日本の詩人、書家 / 1924-1991)

7月某日、渋谷。

この日は、先日のフィールド・レポートにて書かせて頂いた番ゲをした8の案件と初回アポがあった。彼女は静岡在住だったが、興味を引く誘いをメールでできたせいか、休みを利用してkitagawaに会いに都内まで来てくれることになった。ハチ公前広場でピックアップしてから二日後の出来事だった。

待ち合わせ場所は、いつものハチ公前広場。AM8:00。始発に乗り最速でこちらに向かってギリギリ間に合う時間だ。前日のメールのやり取りから、彼女が寝ていないことは明らかだった。待ち合わせ場所にいくと、すでに彼女は到着していた。

身体のラインがはっきり分かってしまうほどの、白いタイトなミニスカのセットアップ。ロングヘヤーで毛先がラフに巻かれた髪。彼女はどっからみても魅力的だった。

この日はもともと、「世界一の朝食」で有名なbillsで朝食をとりつつ、海にでも行こう、という話だった。あいにくの雨の中、明治神宮前へ電車で移動する。二人ともあまり寝ていなかったので、今日一日もつか心配だった。

東急プラザに到着し、エレベーターで7階へ向かう。トーストのセットと、パンケーキのセット、ヨーグルトとバナナのフレッシュドリンク、レモネードを注文する。どれも美味しかった。また、テラスからの眺望も良かった。小鳥が飛んできて、空いた皿に少し残っていたスクランブルエッグをついばむ。良い朝だ。そう、kitagawaは純粋に思った。

ほどなくして、時間が来た。kitagawaはホワイトニングのために歯医者のアポを入れていたのだ。雨が降っていたのでタクシーを拾い、kitagawaの家の方へ向かう。歯医者に行っている間、彼女には仮眠をとってもらうことを打診した。彼女はそれに合意した。施述が終了し、家へ向かう。あらかじめ渡しておいたバスローブに着替え、ベッドで熟睡している彼女がそこにはいた。出会った時のやりとり、メール、朝食をともにしたことで、充分に魅了できているはずだ。ここで軽めのギラをしかけた。静岡からわざわざ会いに来てくれていることも、IOIの判断材料となった。

グダだ。しかし、これは形式的なものだ。すぐさまそれを感じ取り、次の行動へ移行する。腕枕で引き寄せ、優しく耳舐めからのDキス。すべての動作を、彼女の様子を伺いながら、ゆっくりすることを心がけた。ここで微塵の不安感も与えてはいけない。

解放。彼女は近藤さんをつけていることを確認し、kitagawaを受け入れた。

「気持ちよかった。。。」

その言葉が彼女の出した答えだった。それ以上も以下もない。kitagawaは安堵した。達成感と同時に、「こんなものか」という感情の波が急激に押し寄せた。雨の日の気怠さだけが残った。朝食が思いの外、胃に残っていた。二人はすぐに昼食を食べる気分にはなれなかった。少しそのまま家で休憩しつつ、昼過ぎに街へ繰り出した。

カラオケではしゃぎ、お台場でゴディバのドリンクとビールを買った。浜辺でそれを飲みながら、ぼんやりと海を眺めた。しばらくお互いのことを語り合った。地元の友達のこと、成人式での出来事、元彼のこと。やがて、日は沈み、夜が訪れた。お台場の海は、レインボーブリッジをはじめとして、夜景が非常に美しい。

渋谷に戻るころには、ちょうどお腹も減っていた。ハンバーグで有名なゴールドラッシュへ向かうことにした。ここのダブルチーズ・ハンバーグは絶品だ。彼女は何にでも喜んでくれた。起こることのすべてを新鮮に感じているかのようだった。元彼には、デートらしい洒落た場所に連れて行ってもらった経験がほとんどないという。喜んでいる彼女をみるのは、kitagawaも嬉しかった。しかし、それは心からの喜びではないのは明らかだった。

kitagawaはすぐ体を許す女が嫌いだ。男が兵士、女が城だとすると、簡単に陥落する城を、誰が守ろうと思うだろうか。自分がすぐ落とせる城は、他の兵士にもきっとすぐ落とされてしまう。PUAは常に主体的に即を狙いに行くものだが、即をすると途端にその子に価値を感じられなくなってしまう。

kitagawaは、いつの日か、そんなPUAのジレンマを抱えていた—。


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