準即とキャバと女子アナ 後編 〜Club camelotフィールド・レポート〜

ギリシアの画家アペレスは、自分の絵の後ろに隠れて人々の率直な批判を聞き、腕を磨いたという。自己教育の手段である

ー ルネ・デカルト(哲学者)


こちらは、前回の続編になっております。

まず、こちら

準即とキャバと女子アナ 前編

準即と女子アナ 中編〜難攻不落!アルファ・メイル〜

をご覧下さい。


kitagawaは小山との反省会を済ませ、一息ついた後、身支度を整え部屋を出た。時計の針は既に深夜1時を指していた。六本木に行くのはあまりにも遅すぎた。

「今日は、キャメ(クラブキャメロット。渋谷にあるクラブの一つ。)行こうか」

kitagawaは言った———。

渋谷Club camelot フィールド・レポート2015vol.1

□場所 Club camelot (http://www.clubcamelot.jp)

大人達の新たな楽園・理想郷をテーマに3つのクラブフロアとレストランを併設した合計300坪の大型複合エンターテイメントスペース。(ー公式HPより)

□日付 8月土曜

□時刻 26時〜29時

□天候 晴れ


サージングをしながら、LOFT前を通り抜け、キャメを目指す。小山もkitagawaも最近のキャメの客層に対して疑問を感じていた。2人とも、狙いたい層に出会えない確率が高いからだ。出会えなければ、即にリーチできない。

T2(渋谷にあるクラブ。アパレル、美容系が多い箱)という案もあったが、週末の夜はピックアップをするには混みすぎている。可能性に賭けてみることにした。

エントランスを通り抜ける。キャメに来るのは本当に久々だった。ぬるりとした風が頬を撫でた。

キャメは大きく分けて2フロアある。まず、上のフロアがヒップホップ。そして、下がビルボードトップチャートをはじめとしたEDMやハウスなどオールミックスが流れてる場合が多い。

ヒップホップフロアからサージングを始める。案件は?居なくもない。様子を見て、下のフロアに降りることにした。

下のフロアに行くと、一人の女性と目が合った。

「あ!」

即座にその女性は笑顔になった。そして、kitagawaの隣の人物———小山にその視線の先を移した。

何が起きたか、kitagawaはすぐに理解した。その女性の正体は先日小山が別れたばかりの、いわゆる”元カノ”だった。そして、小山はその女性のことをとても大切に想っていた。

オンリーワン中毒(一人の女性しか見えなくなってしまい、失うことを極度に恐れ、他のピックアップ活動に支障が出ること)だ。恋愛を追求していれば、誰にでも起こり得るし、それはkitagawa自身も例外では無かった。

さっきまでとは明らかに小山の様子が違っていた。それは小山と深い繋がりをもっているkitagawaは容易に納得できた。独りでの戦いを覚悟した。

サージングと声掛けを繰り返した。

ダンスフロア脇のレディースシートで、7のペアを発見した。タバコを吸おうとしていたところだった。ポケットからライターをそっと差し出す。彼女は笑顔で会釈した。

「向こうで一緒に踊ろうよ。」

kitagawaは一気に攻めた。その女性は、隣に座る友人と顔を一瞬見合わせて一言二言交わした。

「疲れたからちょっと休憩。」

それが彼女たちの出した答えだった。

その後、なかなか魅力的な案件には出会えなかった。陽水理論。もちろん、そんな状態の中、小山が機能するわけもなかった。5、6件ほどのペアにアプローチし、kitagwa一人で和んでいる状態が続いた。

早く脱却しなければ。投下したタイムリソースと金銭リソースが無駄になってしまう。それだけは避けたかった。番ゲを1件したところで、一息ついた。

「アメリカンレモーネド。」

そうバー・カウンターで告げ、小山と乾杯をした。案件がいない———この状態はどうしようもなかった。

途方に暮れている場合ではない。そう自分に言い聞かせ、サージングを再び始めた。階段下で、6と7のコンビを発見。すぐさま声掛け。

「どうしたの?」

kitagawaの激安10ダラースマイルが炸裂。オープンした。しかし、後ろに小山の姿はない。急いでLINEで呼ぶ。すぐさま駆けつけてくれた。これが本日、キャメでの小山との初コラボだ。少し和むも、即案件ではなかった。そのままリリースした。

時計の針は4時30分を指していた。

「出よう。」

kitagawaは作戦を変える決断をした。小山もそれに合意した。一旦、kitagawa宅で体制を立て直すことにした。

「クラブが終わる5時過ぎにatomの前の坂でピックアップしよう。」

kitagawaは言った。小山は頷いた。kitagawa邸で撮り貯めたナンパ音声ファイルや動画を一緒に見ていた。すぐ時間が来た。

5:15、atom坂———。

ピックアップを再び開始した。4と6の案件を発見。kitagawaが声掛けをした。小山は知り合いの様子だった。kitagawaも、その子の顔を見たことがあった。

「帰るの?もう少し話そうよ。今から俺らコンビニに行くんだけど、ちょっと付き合って。」

そう言いながら、誘導。

「疲れたし、ちょっと休みたいかも(笑)」

6は答えた。そのままコンビニで生ハムとメロン、水、ゆず鏡月を買い、kitagwa邸へ向かった。

4人とも疲れていたので、水をシャンパングラスに注ぎ、生ハムメロン・セレブレーション。少し和んで、寝る流れに持って行った。

二つのベッドに分かれ、電気を消す。

kitagawaのギラ。ノーグダ。

まさしくフールズメイトだった。眠さと酔いに負け、ゆっくりと目を閉じた。直前に見あげた白い天井が、kitagawaの心をゆっくりと澄んだ白に変えていった。


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