スト値9との戦い 後編 〜激動の1日目〜

嫉妬深い人間は、自ら真実の徳をめざして努力するよりも、人を中傷するのが、相手を凌駕する道だと考える。

– プラトン


今回のエントリーは前回の

スト値9との戦い 前編 〜激動の1日目〜

の続編になります。まずはそちらからご覧下さい。


kitagawaは会計を済ませ、彼女の手を引いた。

「ごちそうさまでした。」

微笑みながらお店に御礼を言い、ゆっくりとドアを開けた。感謝の念は常に持たなければいけないし、相手に伝えるために表現しなければいけないと思った。心に留めるだけでは相手には伝わらない。

そして、男性が想像する以上に、女性はそういう普段の男性の立ち振る舞いを見ている。あるいは、無意識的に感じている。例えば、見た目が遊んでそうだとよく言われる人にとって、実はとても”礼儀正しい人”だという事実は、いい意味でのギャップを演出することができる。別に遊んでそうに見えなくても、”礼儀正しい人”でいることはマイナスになり得ることはまず無いと思ってもいいし、そんな誠実な人を求める女性は山と存在する。

だから、普段からkitagawaは、女性へのマナーや気遣いを忘れたことはないし、それがPUAたる存在だと認識している。靴を揃える、ひざ掛けを渡す、そして、女性と一緒に過ごす空間をお互いに楽しめるようにする———それだけあれこれと考えてもうまくいかないこともある。しかし、それすらも楽しむkitagawaが存在しているのだ。

よく女性から「SかMか」と問われ、kitagawaは「ドS」だと答える。ドSはMと紙一重だ。SとMが360度の円で表されるならば、ドSの極致は壁一枚でドMと繋がっている。攻める対象が外に事足りず、自分に求めるようになってしまうのだろう、と女性には表現する。

———そんな質問を、スト9の彼女からも受けていた。同様に答えたら、彼女は笑っていた。BARからの帰り道、彼女とは敢えて手を繋ぎにいかない。なぜならば、”尊敬できる紳士”を演出する必要があったからだ。そのまま、流れるように自宅へ向かった。

「PCの電源取りながら、もうちょっと話そう。シャンパンも冷えてるし。」

パーカー理論。ノーグダでkitagawa邸へインした。シャンパンを開けながら、彼女との会話を深めた。タイミングを見計らって、彼女を褒めつつ頭をポンポンする。

「女の子の扱い慣れてるでしょ?(笑)」

彼女は笑いながら言った。

「え、別に。てか全くモテないんだよね。持てるのは重い荷物ぐらいだよ。だから買い物のときはまかせて。」

kitagawaは言った。

「なにそれ(笑)」

彼女はずっと微笑んでいた。良い雰囲気だった。

そっと抱き寄せると、少しだけグダ発生。形式的なものだった。優しくキスをした。彼女からもキスが返ってきた。ベッドにお姫様抱っこで彼女を連れていく。ギラ。下を触りにいく。

「ねぇちょっと。今日は止めよう?」

彼女から、そんな言葉をもらった。強めの拒絶だった。kitagawaは空気は読まないが、本気で嫌がっている子に対しては素直にその拒絶を受け入れる。そもそも論として、初めから男の家に上がってる時点で、って話にはなるが。ここではそれは置いておくことにした。

kitagawaにはビジョンがあった。彼女は、会ってすぐにセクをすることが女性としての価値を低下させることを強く認識していた。そして、合わせて男性のプライドを傷付けないように断る、所謂”良い女の素養”を持っていたのだ。kitagawaは、彼女をLTRとして運用していくことを思案した。そのためにはバイヤーズ・リモース(Buyer’s Remorse:購買者の後悔。この場合は、フールズメイトにより即刻セクに至った場合に起こる女性側の後悔の念の意。連絡が取れなくなる、あるいは関係が悪化する等の弊害が生じる危険性を孕んでいる。)になる可能性を極力低下させる必要があった。

「分かった。じゃあ、送ってくね。」

kitagawaは笑顔で言った。二人で作り上げる仕事の話がまだ終わっていなかったから、翌日の夜また会う約束をして、そのまま家を後にした。

タクシーを拾い、彼女を見送る。

「kitagawaくん。今日はありがとね。また明日。」

彼女はそう言いながら、kitagawaにハグを求め、フレンチキスをしてきた。kitagawaは彼女のIOIを感じていたが、まだ完璧にクロージングできる確証が持てなかった。

そして、翌日の夜が来た。

続く———。


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