恋のフライト・アテンダント 第2章 〜タイム・リミット〜

人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。

- アリストテレス


本日のエントリーは、以前のエントリー

恋のフライト・アテンダント 序章 〜魔法にかけられて〜

の続きとなります。よろしければ、まずはそちらからご覧下さい。


CAの彼女の終電の時刻が残り20分まで迫っていた。kitagawaは思考をあれこれと巡らせていた。どうすればいい?なにが正解だ?

結果が出るまでは、なにが正解かは分からない。未来を予測し、もっとも自分が進みたい方向へ相手を誘導していくことだけが、”現在”できることだ。今と未来とを一本の線で捉え、その線を丁寧に紡いでいくイメージだ。

彼女がトイレに立った。手早く会計を済ませ、席に腰掛けた。目の前の空いたグラスを一点に眺めながら、kitagawaは作戦を練っていた。

「それじゃ、行こうか。終電に乗ろう!送っていくね、お姫さま。」

彼女が席に戻ると、kitagawaは笑顔でいった。彼女も笑顔で頷いた。初めて、彼女の手をそっと握った。彼女も握り返してきた。心地よいIOIが感じられた。ちらりと腕時計を見ると、その針は既に22時45分を指していた。彼女の渋谷からの終電は22時53分。残り8分だ。

kitagawaは敢えて、早足で歩いた。彼女と一夜を共に過ごしたかったが、「過ごしたい」という思いを彼女に悟られてはいけない。あくまで、見掛けだけでも彼女を終電でちゃんと送り届けてあげたい、というスタンスを演じられるように努めた。彼女は、”軽い女”であることが女性としての価値を低減させてしまうことを十分に理解していたからだ。北風と太陽理論

「大丈夫。急げば間に合うよ!」

彼女を励ましながら、神泉駅(井の頭線、渋谷の隣の駅)まで足早に連れて行った。時間はぴったり53分だった。彼女は渋谷界隈の土地勘がまるでなかった。kitagawaは今日の和みの中から、それを知っていた。神泉駅から渋谷までは電車で1、2分程度だが、当然ぴったりに着いたのでは渋谷からの終電には間に合わない。

彼女は携帯で時間を調べていた。今の時間で帰りの電車を検索しても、始発が表示されるのは明らかだった。

「都内の友達の家にいくね。」

彼女が言った。

「わかった。じゃあ、その時間までもう少し話そう?」

kitagawaは言った。

「友達の家は小岩だから、あと1時間くらいしかないけど良い?」

彼女は少し考えてから、そう答えた。

「勿論。」

kitagawaは笑顔で答えた。

彼女の手を引き、家へ向かった。形式グダ発生。これは想定の範囲内。自信満々かつ余裕の笑顔で促す。パーカー理論。インマイハウス。

「友人にメールで確認した?一応、確認しといた方が良いんじゃない?キミがそっちの駅に着いたときに誰も連絡取れなくて結局漫喫とかに泊まることになったら嫌だし。」

膝掛けを渡しながら、kitagawaは優しく言った。

「そうだね。ありがとう。」

彼女はそう言って、携帯で何かメールを書いていた。しばらくして、友人から返信が来たらしく、大丈夫とのことだった。kitagawaは彼女に、さりげなくほっとした表情を見せた。

渋谷から小岩までの終電は0時13分。主要な路線の終電時間はほぼ頭の中に入っていた。次はそこまでが勝負だ。

LHPT(Let’s Have a Picture Taken together。一緒に写真を撮り、親密度をあげるテクニック。ウイングなどの第三者が扇動し、後押しする使用法が一般的な手法。)からのルーティーン”ロマンティック・フェスティバル”。

時計を見る隙を与えないように意識した。家を出るとき、時計の針は既に終電時間の2分前だった。

「とりあえず、急ごう!間に合うよ、大丈夫。」

彼女の手を引きながら、kitagawaは言った。

勿論、間に合わなかった。目の前で電車は行ってしまい、駅の電光掲示板は次に到着するであろう電車の時刻を明々と示していた。

「とりあえずさ、歯ブラシ買って戻らない?電車動き出したら送ってくよ。そして、朝ごはん食べよう。世界一の朝食。」

kitagawaはそう言いながら、彼女の返事を待った。彼女は少し考えて、kitagawaの差し伸べた手を握りしめた。

kitagawaの魔法は0時の鐘では解けなかった———。

続く。


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kitagawa


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