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或る雨の日の出来事 ①

人間には欲望と プライドの中間点のようなものが必ずある。

全ての物体に重心があるようにね。

— 村上春樹(小説家)

 

 


 Chapter 1 雨模様

7月某日、渋谷———。

 

rainy

 

その日は、生憎の雨模様だった。空はどんよりと曇っており、それはまるで古いホテルの天井についたシミのようでもあった。そんな空模様とは相反して、なんだか気分はワクワクしていた。しとしとと落ちてくる小さな雨粒が、透明なビニール傘とぶつかって頭の上でパラパラと音を立てている。

kitagawaは雨の日が好きだ。雨の日はストリートから人が減る。界隈からは、きっとそんな日はナンパには向かないのだろうと思われているし、その証拠に「雨が降っているから出撃をしない」なんて話もよく耳にする。足元は悪く、一張羅は濡れ、片手は傘でふさがる。その上、案件 との距離感も生まれてしまう。そんな雨の日。

しかし、それらは全部ネガティブなバイアスがかかった、単なる思い込みなのかもしれない。そう、kitagawaは思っていた。事実、雨の日はコンペティターが明らかに減っていた。雨天時のナンパに際し、どれほど高次元なモチベーションを維持して、その行為に取り組んでいる人間が存在するのだろうか。

よくよく考えてみると、雨天を理由に会社や学校を休もうとしたりする人間はごく少数派であろう。しかし、ことナンパに関しては、別に何の強制力や義務もないわけなのだから、そんな腰の重い日にわざわざストイックに外に出て、女性に声をかける必要はどこにもない。また、特に明確な目的を持たずに、ふらっとターミナル駅までウィンドウ・ショッピングなどに来ている女性達も少なからず存在するだろうが、そういった属性の女性達ももちろん悪天候ならば減るであろう。しかし、それもまた雨の日のナンパ師の減り具合に比べれば誤差の範疇だ。それくらい、雨の日は路上からナンパ師が消える。

つまり、それは雨の日においてはストリートというフィールドが買い手市場へシフトしている、ということを意味している。また、悪天候をもたらす低気圧がヒトの交感神経に作用することは科学的にも知られている確かな事実であるが、その場合、瞳孔が開いたり、なんとなくソワソワしたりする。これは男女間の出会いにおいて一種の吊り橋効果(人間の脳はドキドキしているものの原因がなんであるかの判断力に乏しい。そのため、その高揚感が恋愛によるものであると錯覚してしまう)にも似た作用が創出できる可能性が高まる、ということを意味している。kitagawaはそんな雨の匂いに、いつの間にか魅了されていたのだ。

濡れた道路と生温い風が運んでくる、湿った雨の香りがふわりと鼻に入る。これから起こることを想像すると、胸が躍った。雨の日はいつも何かが起こりそうな気がする。そういえば「いま、会いにゆきます 」で亡くなった竹内結子がアーカイブ星から帰ってきたのも雨の日だったし、ASKAの名曲にも「はじまりはいつも雨」というものがある。そんなどうでもいいことを思い出しながら、夜の渋谷の街をスタスタと歩いていた。深夜には友人とクラブに行く予定があったため、歩きながらそれまでのリソースをどう過ごすか考えていた。すでに答えは出ていたのだが。

いつものクラブ街の坂。コンビニでワンカップOZEKIを買い、一気に飲み干す。浮浪者ルーティーン発動。ふとしたときに、前方から明らかに目立っている高身長でモデル体型の女性が二人、こちらに向かって歩いてくるのが見えた。いけ。声をかけろ。頭の中からそんな声が聴こえた気がした。

 

 Chapter 2 ネグ

「雨だね。これからどこ行くの?」

「・・・ねぇ、傘ちょうだい。」

右側にいた今風の茶色い髪をした女性が、屈託のない笑顔で右手に傘を持つkitagawaに向けて言った。彼女は身長が170ほどで、紺色のレースのノースリーブとタイトスカートのセットアップを着ていた。スタイルの良さを強調するかのように、くびれのある細いウエストをヒップラインの目立つタイトスカートに差し込んでいた。それはもしかしたらワンピースだったのかもしれないが、今となってはどうでも良いことだ。

「atom行ってたの?」

PUAは質問には答えない。先に質問をしているのはこちらだ。こちら側の質問に答えてもらえなければ先へは進めない。それがセオリーだ。

「そだよー。でも人が多すぎて疲れた。それに客層が悪い。」

彼女は苦笑いしながら言った。チャームポイントであろう八重歯がチラッと、キラキラと口紅の輝く妖艶な口元から覗いた。

「そうなんだ。てか、傘あげるよ。よかったらこれ使いなよ。この辺に住んでるからさ。濡れたらオネーさん風邪ひいちゃうしね。」

「え、そんな悪いよ(笑)」

彼女は先ほどの苦笑いとは打って変わって、少し心を開いたような笑顔になった。隣の黒髪のロングヘアーの女性はポーカーフェイスを決め込んでいた。そのときだ。運良く近くにいた PUA でもある友人が、この現状を見て参戦してきた。絶妙なタイミングだった。あとは、それぞれの役目をこなすだけだ。

話を聞いていくと、どうやら彼女たちはこれからまたクラブを梯子するらしく、その行き先はどうやらTK(渋谷にあるクラブ。元T2。) の様子だった。彼女たちは明らかに男慣れしていた。それは会話の節々や、彼女たちの態度から感じられた。クラブに行きたいマインドを持つ2人を短時間でリフレーミングし、個室誘導するのはかなり困難だということは容易に想像できた。加えて、彼女たちを説得できるほどの和みが出来るほどのタイムリソースもない。情報も少なすぎる。ないない尽くしだが、それらはすべて出来ない理由を探す言い訳でしかない。

こんな時こそ考えろ。何のために今までやってきたのか。お前のその脳みそはただの飾りか。頭蓋骨も無価値なモノを守って大変だろうな。頭の中でそんな言葉達がぐるぐると反芻していた。

隣に目をやる。お互いの担当と話し込んでいたが、友人は黒髪ロングとはあまり和めていない様子だった。会話をなんとか繋いでいる、といった状態だ。ピックアップは他力本願ではいけない。どんな現場においても「自分が現状を打破するのだ」という揺るぎないマインドが大事だ。もちろん、コンビにおいては、チームとしてどう動いていくのか、という部分も重要なファクターではある。しかし、今この現状を動かすには、kitagawaが主体的にアクションを起こす必要があった。この場をコントロールする鍵が、どこかに必ず転がっているはずだ。それを探すのだ。

持ち物をさりげなく観察してみる。和みの初期段階では、会話から見える情報と、視覚的な情報から案件の特性を推察し、この後の会話を展開していくのがセオリーだ。

何かないのか。何か———そのとき、友人と話す黒髪の女性の方の胸にはクロスのネックレスがチラリと見えた。チェーン部分やペンダントトップの形状から推察すると、それはクロムハーツのようだった。クロムハーツやroar、ジャスティンデイビスなどのブランドを身に付けている女性は少し特種だ。彼女達は、どこかで夜の世界と繋がっている可能性が極めて高い存在であることを、kitagawaは経験上知っていた。

髪質や服装、爪、靴、時計などを鑑みて総合的に判断すると、彼女たちはキャバのキャストである可能性が高かった。話を聞いていくと現在は埼玉でOLをしているとのことだったので、現役かどうかは分からないのだが。

引き出した情報を整理してみる。それぞれの地元は秋田と静岡。とすれば、年齢から逆算して東京に出てきてから長くても5,6年といったところだろう。過ごした環境が人格形成に与える影響は大きい。彼女達はそれぞれ何にコミットしてきたのだろうか。考えろ。考え抜け。

目の前の女性の見た目ははかなり理想に近い。スト値8。間違いなくクラブにいたら箱イチ(そのクラブで最もかわいい)の案件だった。友人と会話している子も背が高くすらっとしており、まさに秋田美人といった感じだ。こちらもスト値8。

「笑うと眉がめっちゃ下がってかわいいね(笑)」

ネグっぽく、言葉を選んで話す。それを聞いた彼女は眉毛を手で隠す。彼女はきっと、今までの人生を男性からチヤホヤされて生きてきた。現に会話の途中でも、道行く男が彼女を見て何度か振り返っていたのをkitagawaは見逃さなかった。すれ違う外人が「your beautiful」といって去って行ったケースもあった。ジェームスブラントもびっくりだ。彼女は自分の顔が整っていることを充分に理解しているのだろう。kitagawaは違和感のないように、彼女が傷付かないであろうスレスレのラインを攻めていった。雰囲気は悪くない。この場の支配者になるのだ。

「ねえ、行こうよ」

不意に、黒髪ロングの女性が割って入ってきた。それはタイムリミットが迫っていることを意味した。

 

 

 —続く—


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